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12/27: ファイト

先日「あなたには年収200万円台のシングルマザーの気持ちがわかる?!」
と問われた。
私にそれを問うた人はシングルマザーでもなく年収200万円台でもなかったが、年収が多い人(この場合は私のことを示していた)に、社会的弱者の苦しさはわからないでしょう、と言いたいようであった。
こういうことを言われるのは、二度目。ずいぶん前にも「年収200万円台の私の気持ちを北原さんはわからない」と言われたことがある。

「他人に他人への想像力」を強いる人が、目の前で困る友の心境を想像できないのはなぜ? なーんてことは口にしなかったが、なぜか「年収が低くない女」のことを、鈍感で資本主義に無自覚に参加する反エコで愚かで想像力のない女、という風に責める貧乏正義系フェミが増えているように感じるのは、私だけでしょうか。貧困は改善すべき問題で正義じゃないのに。

格差社会の本当の怖さは、「あなたに、貧乏人の気持ちはわからない。あなたに弱者の気持ちはわからない。」というようなことを、正義の顔をして振りかざすような人が増えることじゃないかな、と思う。

私は、秋葉原の通り魔殺人事件をおこした男のことを、一部のロスジェネ世代が「君」づけで呼び、「格差社会の象徴的殺人」として彼に同情的であることを激しく嫌悪している。確かに彼は、職業は安定せず、貧困層で、将来が不安であったことだろう。犯罪は社会が生み出すものであろう。でも、こんな犯罪を二度と犯してはいけないためにするべきは、彼を「君づけ」で呼び「わかるよ・・・もしかしたら私だって・・・」と共感することではなく、「幸せなあなたに、不幸な私の気持ちはわからない」という他人に自分の価値を預けてしまうようなそんな甘えからの脱却じゃないの。

被害者のまま生き続けないために、自分が自分を傷つけないための道を模索したい。
傷をなめ合える関係にとじこもり、自分と違う立場の人への共感や共鳴を諦めてしまう前に。
「社会が悪い」のは当然の前提だが、「私はかわいそう」という自己憐憫を肥大させてはいけないと思うから。
そうでなければ、互いが互いを奪い合うような関係しか、うまれないから。

ちなみに、私はなぜかすごく稼ぎがいいと思われているが、女性向けのバイブ屋なんてね、本当に驚くほど、チマチマした世界ですからね。ラブピース、零細ですからね。本当に稼ぎたかったら、男向けのバイブ屋、やってるよ!! そこんとこ、よろしく。

と、ここまで書いたら、一人暮らしの女友だちから電話。
彼女が友だち(アルバイトで生計を立てている)と飲んでいる時、今住んでいるところの家賃を聞かれて(高層マンションです)答えたら、むかつく、と言われたのだって。嗚呼! 高い税金払っているのに嫌われる、いいことのないシングルリッチガール。せめて夜景だけでも楽しませてよ。

中島みゆきの「ファイト」の一節。
「力ずくで男の思うままにならずにすんだかもしれないだけ あたし男に生まれればよかったわ」(中島みゆき『ファイト』)
この歌の文脈でいけば、少し前までは、
「金で頬を叩かれないですんだぶんだけ あたし金持ちに生まれればよかったわ」
と歌うべきなんだろうが、今は、
「自分をもっと肯定できたかもしれないぶんだけ あたし金持ちに生まれればよかったわ」
と歌う時代なんだろう。かなしいね。ファイト!

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